To Miss New Orleans


20年ぐらい前、初めてアメリカへ行った時、L.A、ニューヨークと旅した後、ニューオリンズに2週間滞在しました。

若かったのと、初めての海外旅行だったせいもあってか見るものすべてに感動し、

ニューオリンズが大好きになってしまいました。

その頃の私はピアノで仕事を始めたばかりで、ニューオリンズのジャズの事もよく知らなかったのですが、

着いてすぐ、フェスティバル会場(公園)で『ブラスバンド』を見て、その魅力のトリコになってしまいました。

なにしろ黒人独特のリズムで、行進しながら、というより踊りながら演奏するバンドで、

その場の観客たちは、まるで童話の『ハーメルンの笛吹き』のように、みんな踊りながらその後をついていってしまうのです。

ジャズバンドといえば、ステージで演奏するもの、聞く方は座っているもの、

というイメージしかなかった私にとって、とってもショッキングな出来事でした。

これは私の知らなかった本物の音楽なんだ、これがジャズの原点なんだと感動しました。


(フレンチクォーターで。)

それから、今度は毎日のように、『プリザベイション・ホール』(古い学校の教室のような所です)に通い、

ジャズバンドの演奏を聞きました。

ウィリー・ハンフリー、スイート・エマ・バレット、サイ・フレィジャー、シング・ミラー、

エマニエル・セイラス、といった人たちが出演していました。

今は聞く事の出来ない貴重な演奏の数々でした。

通ううちにホールの経営者アラン・ジャッフェとも知り合いになり、誰もいない昼間、ピアノを弾かせてもらったりしました。

ハイアットホテルで、あの「アール・ハインズ」のピアノを聞いたり

アップタウンの小さなライブハウス(Tipitina's)で演奏させてもらったりと、今思うと夢のような毎日でした。

たくさんの思い出のあるニューオリンズ、行きたい、行きたいと思いながら、あの時以来、一度も行っていません。

もう一回、20年たった目や耳でニューオリンズに触れてみたいと思っているのですが。

(7月9日/2001年)


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